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第60巻 第4号

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症例報告
妊娠12週で子宮破裂による出血性ショックを来した双角子宮の1例
大石 優加里, 村川 裕子, 市川 直樹, 田中 孝和, 吉川 千晶, 門屋 悠里, 深川 知明, 白井 有香, 中西 一歩, 可世木 華子, 市川 剛, 市川 雅男, 鈴木 俊治
日本医科大学千葉北総病院女性診療科・産科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):669-676, 2023

 子宮破裂は,比較的稀な疾患であるが発症した場合には母児双方の生命を脅かし,危険な状態になりうる.今回,妊娠12週に子宮破裂の診断で緊急開腹手術を行い,双角子宮の後壁破裂を呈していた症例を経験したので報告する.
 症例は39歳3妊1産.35歳時に子宮卵管造影検査で単頸双角子宮と診断されている.36歳時に自然妊娠したが妊娠7週で自然流産し子宮内容除去術を行った.37歳時に自然妊娠し妊娠39週で経腟分娩した.いずれも双角子宮左側であった.今回,双角子宮右側に自然妊娠し,妊娠12週0日に下腹部痛と嘔吐を主訴に救急搬送された.
 来院時ショックバイタルで腹部硬かつ膨満であった.経腟超音波断層法で子宮内に胎児は見られず,腹腔内に広範なエコーフリースペースを認めた.子宮破裂による出血性ショックの疑いと診断し緊急開腹手術を施行した.腹腔内には約3,000 mlの血液貯留とその中に臍帯に繋がった胎児を認めた.双角子宮右側後壁に破裂口を認め,両側付属器と双角子宮左側は異常を認めなかった.血腫除去術,双角子宮右側の部分切除術,右卵管切除術,腹腔内洗浄を行った.病理組織学的検査では双角子宮右側の破裂口の近傍に胎囊の存在を示唆したが,着床異常を示す所見はなかった.
 異所性妊娠や子宮術後妊娠に起因する子宮破裂の文献は多く散見されるが,本症例のような妊娠初期の子宮破裂の報告は少ない.文献的考察を踏まえ報告する.

Key words:Uterine Rupture, Uterus bicornis, Pregnancy Trimester First, Unscarred Uterus, Uterine Repair
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