近年腹腔鏡手術の増加に伴い,筋腫核出術後に生じるparasitic myomaの報告が散見される.その機序は筋腫核出術時の筋腫細切で生じた細片が腹腔内に生着すると考えられているが,筋腫核出術既往のない自然発生parasitic myomaに関する報告・考察は少ない.今回我々は,漿膜下子宮筋腫と術前診断された,筋腫核出術既往のないparasitic myomaを経験したことを機に,parasitic myomaが自然発生する機序について考察したので報告する.
症例は32歳,帝王切開時に指摘されていた漿膜下筋腫について手術目的に当院を受診した.腹腔鏡補助下子宮筋腫核出術を施行したが,子宮との間に連続性がなく,腸間膜血管から栄養される腹腔内遊離体を認め,これを検体として回収した.病理組織学的診断はparasitic myomaであった.
文献的検索の結果,parasitic myomaは腹腔鏡下筋腫核出術既往を有しない症例の大多数が経産婦であった.分娩が契機となって有茎性子宮筋腫が捻転により子宮との連続性を失って遊離し,周囲組織から栄養血管を得て腹腔内に生着する可能性が考えられた.
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