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第60巻 第4号

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症例報告
外陰部潰瘍・腟壁潰瘍・子宮頸部潰瘍形成が腸管Behçet病の病勢と一致した1例
玉井 佳奈1), 馬場 聡1), 牧 綾音1), 大嶋 幸太郎1), 賀 博美1), 白取 優一1), 森岡 将来1), 足立 克之1), 五十嵐 敏雄1), 萩野 昇2), 梁 善光1)
1)帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
2)帝京大学ちば総合医療センター第三内科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):695-700, 2023

 Behçet病での外陰部潰瘍は原病の病勢を反映する場合があるとされるが,特殊型Behçetでの外陰部潰瘍についての報告はほとんどない.今回我々は,外陰部・腟壁・子宮頸部潰瘍の形成が腸管型Behçet病の病勢と一致した1例を経験した.症例は30歳,0妊.既婚.特記すべき既往なし.最終性交渉は夫と2年前であった.外陰部痛を主訴に前医を受診し,右小陰唇の潰瘍病変を指摘された.外陰ヘルペスを疑い抗ウィルス薬を投与するも症状改善がなく,当院紹介受診となった.初診時,右小陰唇と子宮頸部に1 cm大,圧痛著明の潰瘍を認めた.諸検査では単純ヘルペスを含め感染症は否定的であり,内科併診を依頼した.詳細な問診から口腔内再発性アフタ性潰瘍,毛囊炎様皮疹の既往が判明し,下部内視鏡検査で回盲部に潰瘍を認め,腸管型Behçet病と確定した.コルヒチンで治療を開始したところ,外陰部潰瘍は瘢痕化したが,薬剤漸減中4週間後に圧痛を伴う新規潰瘍を前腟円蓋に認めた.同時に下痢・血便にて原病が再燃し,プレドニゾロンによる加療に変更した.円蓋部の潰瘍は瘢痕化したが,薬剤漸減中に腟壁に新規の有痛性潰瘍を認めた.その後腹痛,腸管浮腫を認め原病が再燃し,プレドニゾロン増量,メサラジン,アダリムマブで症状は改善し,腟壁潰瘍も瘢痕化した.腸管型Behçet病では外陰部潰瘍の増悪の際は,消化管病変の増悪を考慮し積極的に精査すべきである.

Key words:genital ulcer, vaginal ulcer, uterine cervical ulcer, Behçet's Disease, Intestinal Behçet's Disease
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