書誌情報

第60巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
子宮手術既往なく妊娠14週で子宮破裂を生じた一例
川島 侑希子, 梅原 琴乃, 渕向 なつみ, 鈴木 琴音, 三品 亜純, 横澤 智美, 長嶋 亜巳, 峰 優子, 山口 瑞穂, 片山 佳代, 佐治 晴哉
藤沢市民病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):701-706, 2023

 子宮破裂は稀であるが母児の生命予後に直結する重篤な産科救急疾患である.子宮手術既往がある妊娠の分娩中に発生することが多いとされているが,今回我々は子宮手術既往なく妊娠14週に自然発生した子宮破裂の一例を経験した.36歳,3妊2産(いずれも経腟分娩).右卵巣内膜症性囊胞に対して腹腔鏡下右卵巣腫瘍摘出術の既往があった.妊娠14週1日,突然右下腹部痛が出現し前医を受診したが明らかな産科的異常は指摘されず,当院救急外来へ紹介受診された.来院時のShock Indexは0.84,ヘモグロビン値は来院時10.0 g/dLだったが3時間後には5.6 g/dLへ低下した.経腹超音波検査で胎児心拍を認めた.腹部骨盤部単純CT検査で子宮周囲に多量の液体貯留を認めたため,腹腔内出血を疑い緊急腹腔鏡下止血術を行った.腹腔内に貯留していた多量の血液を除去すると,子宮底部に5.5 cm程度の筋層断裂と子宮内からの胎胞様所見を認め,子宮破裂と診断した.開腹手術へ変更後,術中に胎胞が自然破綻し胎児及び付属物を腹腔内から娩出した.子宮筋層破裂部を縫合し止血を得た.前医からの情報も含めたその後の検討により,本症例が子宮内異所性妊娠であった可能性が示唆された.子宮手術の既往がなく,また妊娠後期でなくても子宮破裂が発生する可能性を考慮し,妊娠中の急性腹症に対して診療に当たる必要がある.

Key words:Uterine Rupture, Ectopic Pregnancy
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会