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第61巻 第1号

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症例報告
常位胎盤早期剝離を呈した分節性絨毛血管腫症(segmental chorangiomatosis)の1例
馬場 聡, 永井 紗恵子, 大嶋 幸太郎, 牧 綾音, 玉井 佳奈, 白取 優一, 森岡 将来, 足立 克之, 五十嵐 敏雄
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(1):83-89, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-1.83

 妊娠34週に常位胎盤早期剝離をきたした分節性絨毛血管腫症(segmental chorangiomatosis)合併妊娠の1例を報告する.症例は21歳,初産.非妊娠時の患者背景に特記事項なし.自然妊娠で妊娠中期まで順調に経過していたが,34週6日に突然の下腹部痛と性器出血を自覚して前医を受診し,常位胎盤早期剝離を疑い当院搬送となった.子宮は板状硬で持続する性器出血を認め,胎児心拍モニタリングではvariabilityが減少しており,経腹超音波断層法で著明な胎盤肥厚を認めた.子宮口は1 cm開大に留まっており,緊急腹式深部帝王切開術にて児を娩出した.児は男児,1,920 g,アプガールスコア:3/5/7(1/5/10分値),UApH:7.195であった.娩出された胎盤は13.5×11.0 cmの範囲で5 cm厚の板状肥厚を示し,この母体側には血腫を認めた.病変部の組織学検索では数mmから1 cm径の血管腫様の結節が全層に亘って密に分布する分節性絨毛血管腫症を認めた.結節を介在する既存絨毛は広い範囲で梗塞に陥っており,常位早期剝離が誘起されたともの考えられた.一般に絨毛血管腫症は境界明瞭な腫瘤を形成しないため出産前の画像診断は難しいとされているが,本例の28週齢時の妊婦健診の超音波画像の後方視的検討では分節性に5 cm厚の胎盤肥厚がみられ,分娩前診断に有用な所見となる可能性が示唆された.

Key words:chorangiomatosis, segmental chorangiomatosis, chorangioma, placental infarction, placental abruption
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