─原著─
一般環境におけるエアーサンプラーを使用した空気浮遊菌の分布調査
松木 美貴1)2), 眞野 容子1)2), 古谷 信彦1)2) 1)文京学院大学保健医療技術学部臨床検査学科, 2)文京学院大学大学院保健医療科学研究科
空気中に浮遊したエアロゾル・飛沫の内部には,細菌,真菌,ウイルスといった病原体が含まれている.今回,エアーサンプラーを使用し,ヒトが活動している状態においての空気浮遊菌の分布状態を調査した. 一般環境(大学内)12ヵ所で調査した結果,すべての場所で空気浮遊菌が検出された.CNS,Micrococcus spp.,Corynebacterium spp.,Bacillus spp. が75%以上の場所で検出され,これらは皮膚常在菌として検出される菌と同一の菌種であった.また,約25%(3ヵ所)でmethicillin sensitive Staphylococcus aureus(MSSA)が検出された. 実習室にて在室人数(1~40人)による空気浮遊菌数の変化を調査した結果,実習前に比べ,実習中は総菌数が9倍に増加した.増加に関与した菌はCNS,Micrococcus spp. であった.空気浮遊菌数が最も多かった実習中にMSSAが検出された. 今後,病院環境においてもエアーサンプラーによるサンプリングを実施し,空気浮遊菌の分布状態を調査する.
Key words:空気浮遊菌, エアーサンプラー, Staphylococcus aureus, 皮膚常在菌
連絡先: e-mail:
mmatsuki@bgu.ac.jp
受付日:2019年1月8日 受理日:2019年2月17日
34 (3):141─146,2019
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