─原著─
当院におけるVentilator-Associated Events(VAE)サーベイランスと旧定義Ventilator-Associated Pneumonia(VAP)サーベイランスとの比較検討
佐藤 瑞穂1), 内山 正子1), 青木 美栄子1), 坂上 亜希子1), 津畑 千佳子2), 茂呂 寛1), 田邊 嘉也3), 菊地 利明1) 1)新潟大学医歯学総合病院感染管理部, 2)新潟南病院呼吸器内科感染症科, 3)新潟県立新発田病院呼吸器内科
2013年に新定義のVentilator-Associated Events(VAE)サーベイランスが提唱されたが我が国における報告は限られている.我々は2013年12月1日から2016年3月31日に新潟大学医歯学総合病院のIntensive Care Unit(ICU)で人工呼吸器を使用した18歳以上の患者に対しVAEサーベイランスと旧定義Ventilator-Associated Pneumonia(VAP)サーベイランスを行い比較検討した.対象患者290例中Ventilator-Associated Conditions(VAC)14例,Infection-related Ventilator-Associated Complications(IVAC)7例,Possible VAP(PVAP)8例,旧定義VAP7例(発生率3.6,1.8,2.1,1.8/1000人工呼吸器使用日数)であった.非VAE非VAP例に比し,人工呼吸器使用日数・ICU滞在日数はPVAP例と旧定義VAP例で,総死亡率・ICU死亡率はVAC例とPVAP例で有意に高かった.旧定義VAP7例中VAEとの一致は4例で不一致の主な要因は酸素化の悪化が軽度でVAEの定義を満たさなかったことであった.VAEサーベイランスは旧定義VAP同定に対する感度は低いが我が国においても予後予測の面で有用である可能性がある.
Key words:VAE, VAP, surveillance, ICU
連絡先: e-mail:
mizuhrs@med.niigata-u.ac.jp
受付日:2018年12月25日 受理日:2019年3月27日
34 (3):162─168,2019
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