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─報告─

300床以上の医療機関が清掃事業所の感染管理体制へ及ぼす影響

水野 住恵1), 柳生 文宏2), 村井 貞子3)
1)JA秋田厚生連秋田厚生医療センター感染管理室, 2)東京大学大学院医学系研究科人類生態学教室, 3)東邦大学


医療機関の清掃を行う作業員への感染対策は,作業員自身の健康問題と受託医療機関の病院感染への影響の両面から重要である.本研究では,一般財団法人医療関連サービス振興会より認定事業者として登録されている全国1895清掃事業所の受託責任者に,感染対策に関する質問紙法での調査を行い,491(25.9%)清掃事業所より回答を得た.感染対策マニュアルの有無,入職時検診の実施,ワクチン接種,感染対策研修会の実施,作業員と受託責任者のミーティングの有無,医療機関とのミーティング等,感染予防管理に関連する16の質問を行った.この結果13の質問に対して,受託している医療機関の中に300床以上の医療機関がある清掃事業所の実施率が,作業員数(100人以上,100人未満)に係わらず,300床以上の病院を受託していない事業所より,有意に高い結果を得た.しかし,300床以上の病床数の医療機関を受託している事業所の60.9%は,直近3年間に1件以上の血液・体液曝露があったと回答しており,作業員の血液・体液曝露の危険性も示されていた.300床以上の医療機関では,感染防止対策加算1の算定をしている施設が多く,感染対策の実績が上がっている事から,その影響が清掃事業者にも影響していることが想定されたが,該当する事業所は全国では少ない.清掃事業所への感染予防対策の普及は喫緊の課題である.

Key words:感染管理体制, 作業員の病院感染, 清掃作業受託事業所, 委託医療機関, 病床数

連絡先:
e-mail: akkansen@akikumihsp.com

受付日:2018年9月7日
受理日:2019年2月1日

34 (3):169─175,2019

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