─報告─
臨地実習における看護学生の手指衛生に関する知識と実施状況
佐藤 真由美1), 斎藤 瑠華2) 1)学校法人豊穣学園金沢医療技術専門学校看護学科, 2)心臓血管センター金沢循環器病院看護部
医療現場における手指衛生は,交差感染や多剤耐性菌の拡散を防ぐ上でもっとも重要な手段であり,医療関連感染対策における基本である.これは,臨地実習に参加する看護学生にも医療チームメンバーの一員として求められる.そのため,看護学生も手指衛生の方法や,5つのタイミングを理解し,臨床現場で行動する必要がある.しかし,学生を対象に手指衛生の知識と実施状況を併せて調査したものはほとんど報告されていない.本研究では,看護学生の手指衛生に関する知識と実習における実施状況を明らかにし,今後の学生への指導方法を検討することを目的に,4年制大学3校および専門学校2校の看護学生を対象に臨地実習を全て終了した時点で無記名自記式質問紙による調査を行った.調査内容は,手指衛生に関する知識,実施状況,実施状況の関連要因であった.手指衛生の知識に関して,病原微生物に対する擦式手指消毒効果や「手指衛生の使い分け」,「手指衛生の5つのタイミング」を正しく回答できた学生は極めて少なく,知識が定着していなかった.「手指衛生の5つのタイミング」に関する正しい知識がないにも関わらず,臨地実習で実施できたと回答した学生が半数みられた.その理由は,「看護師が実施していることを模倣した」ためであった.したがって,実習の場において学生の多くは,自身の判断だけでは状況に応じた適切な手指衛生を行うことが困難であることが示唆された.
Key words:臨地実習, 交差感染, 手指衛生の5つのタイミング, 看護学生, 看護教育
連絡先: e-mail:
satomayu1119@yahoo.co.jp
受付日:2018年5月14日 受理日:2019年2月19日
34 (3):182─189,2019
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