─短報─
人工呼吸器関連感染症にかかる追加コストに関する検討
中村 ゆかり, 相野田 祐介 三井記念病院感染制御部
2013年にThe Centers for Disease Control and Prevention(CDC)は人工呼吸器関連肺炎(Ventilator-Associated pneumonia:VAP)サーベイランスの定義を改訂しVAPは人工呼吸器関連事象(Ventilator-Associated Events:VAE)の中に含まれた.VAEを生じると治療期間や予後のみならず医療経済にも影響を及ぼす事が指摘されているが,日本でVAE発生が医療経済へ及ぼす報告はない.今回,VAEの中で,人工呼吸合併症(infection-related Ventilator-Associated Complication:IVAC)発症患者の入院から退院までのコスト(手技料,薬剤料,材料費)を算出し,年齢・性別・主疾患を条件として非発症患者と1対1でマッチングさせて発症群の追加医療費を検討した.IVAC発症群は非発症群と比較して,追加医療費が平均238万円であったが統計学的有意差は認めなかった.
Key words:人工呼吸器関連肺炎, 人工呼吸器関連事象, マッチング, コスト
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受付日:2018年9月3日 受理日:2019年1月24日
34 (3):206─209,2019
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