─短報─
タゾバクタム/ピペラシリン・バンコマイシン併用群とメロペネム・バンコマイシン併用群の急性腎障害発症リスクの比較検討
川村 ひとみ1)5), 坂本 拓也1)5), 斎藤 寿哉2)5), 諏訪 真知子2)5), 服部 万里子2)5), 熊澤 美紀子3)5), 遠藤 洋子3)5), 戸島 洋一4)5) 1)独立行政法人労働者健康安全機構東京労災病院薬剤部, 2)同 中央検査部, 3)同 看護部, 4)同 呼吸器内科, 5)同 院内感染対策チーム
タゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)とバンコマイシン(VCM)の併用療法が他の広域抗菌薬とVCMの併用療法と比べ,急性腎障害(AKI)を引き起こすことが海外で報告されている.そこで,AKI発症リスクについてメロペネム(MEPM)との併用療法と比較検討した.AKI発症率はTAZ/PIPC+VCM32.0%,MEPM+VCM 7.9%と有意な差を認めた.多変量解析ではAKI発症のリスク因子としてTAZ/PIPC使用のみ有意な因子(オッズ比6.77,95%CI:1.43-32.09)となった.TAZ/PIPC+VCM併用療法ではVCMトラフ値に関わらず腎機能を注意深く監視する必要がある.
Key words:タゾバクタム/ピペラシリン, バンコマイシン, メロペネム, 併用療法, 急性腎障害
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受付日:2018年9月26日 受理日:2019年1月31日
34 (3):210─213,2019
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