─原著─
黄色ブドウ球菌菌血症治療におけるAntimicrobial Stewardship Team介入の効果
三橋 達郎1)2), 平野 龍一1)3), 長内 克嘉1)3), 北澤 淳一1)4) 1)青森県立中央病院感染管理室, 2)同 内分泌内科, 3)同 薬剤部, 4)同 臨床検査部
背景:黄色ブドウ球菌菌血症(Staphylococcus aureus bacteremia:SAB)は適切な医療がなされない場合,予後不良の感染症である.本研究は,当院のantimicrobial stewardship team(AST)介入によるSAB治療管理への影響について評価することを目的に実施した. 方法:当院SAB症例の2014年1月~12月の50例を介入前群,2016年1月~12月の52例を介入後群とし当院ASTでSABに対し主治医に電話や付箋で提案する以下のバンドルの評価や生存率を評価した. 結果:AST介入の前後で,感染性心内膜炎の除外を目的とした心臓超音波検査実施率(介入前22.5%,介入後75%:p<0.01),陰性化確認のための血液培養の再検率(介入前45%,介入後82.5%:p<0.01),適切な抗菌薬を14日以上投与した割合(介入前42.5%,介入後75%:p<0.01)などプロセス指標で有意な改善を認めた.30日生存率(介入前73.8%,介入後74.4%:p=0.89)に差は無かった. 結論:当院のAST活動は,SAB治療の管理に必要な複雑性菌血症の精査,ならびに標準的治療期間の遵守の改善に有益であった.生存率改善には至らなかったが,感染症科がなく感染症専門医も勤務していないASTでもSABへの介入がプロセス指標向上に繋がる可能性が示唆された.
Key words:抗菌薬適正使用支援チーム, 黄色ブドウ球菌菌血症
連絡先: e-mail:
tatu.azu0101@outlook.jp
受付日:2018年7月23日 受理日:2019年3月29日
34 (4):227─233,2019
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