─proceedings─
在宅ケアにおける感染管理の考え方―地域包括ケアシステムの推進に備える
高山 義浩 沖縄県立中部病院感染症内科
当院では,2011年より在宅医療を実践する地域ケア科を立ち上げ,地域包括ケアシステムとの連携を強化すべく活動している.このうち,退院時に感染管理についてアドバイスすることも重要な役割となってきた.また,かかりつけ医に薬剤感受性情報や感染管理の方針などの臨床情報を適切に提供しながら,互いに相談しやすい関係が在宅ケアの現場とのあいだに構築されるよう心がけている.今後,地域で暮らす高齢者の数はさらに増加していくため,病院は在宅ケアへと積極的に関わっていく必要がある.ただし,急性期病院で使われているガイドライン等を,そのまま在宅ケアへと適用することはできない.むしろ,患者や支援者が培ってきた暮らしのなかに,在宅ケアの感染管理の答えを感じとれるセンスが病院の感染管理担当者には求められている.暮らしの感染管理とは,専門家によって一方的に指導されるものではなく,患者,家族,支援者らの参加によって共通の価値観として形成されてゆくべきものである.暮らしとは素晴らしい多様性をもっている.この多様性を支える在宅ケアへ敬意を払いつつ,地域における感染管理を支援していきたい.
Key words:地域包括ケアシステム, 在宅医療, 退院支援, 薬剤耐性菌
連絡先: e-mail:
hiro-t@umin.net
受付日:2018年10月14日 受理日:2019年6月17日
34 (5):242─245,2019
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