─報告─
消毒薬適正使用支援チームによる消毒薬適正使用への取り組み
下平 智秀1)2), 中村 造2), 古見 嘉之1), 犬伏 厚夫1), 添田 博1)2), 小松 亜矢子2), 早川 司子2), 佐藤 昭裕2), 前 彰1), 渡邉 秀裕2) 1)東京医科大学病院薬剤部, 2)同 感染制御部
当院では消毒薬の品目が多く,現場での使用状況に不確かな部分があった.消毒薬を適正に使用することを目的として,感染制御部承認のもと消毒薬適正使用推進チーム(Disinfectant Stewardship Team:DST)を立ち上げ,消毒薬の使用実態について現場での聞き取り調査を行い,使用方法の標準化を図った. 2015年4月から2016年3月までの1年間に消毒薬の払い出しを行った院内の全71部署に対し,25品目の計629例の消毒薬使用に関して,現場確認および聞き取り調査を行った.調査結果およびガイドライン等を参考として院内感染症対策マニュアルの改訂を行った. 聞き取り調査の結果,不適切な使用や不必要な消毒薬の配置が散見されたため,推奨消毒薬を限定して感染症対策マニュアルを改訂した.さらにポケットマニュアルを作成して周知を促した.マニュアル改訂後の現場での消毒薬使用に関する疑義に関しては,DSTが中心となって対応することとした.以上の取り組みにより,推奨した消毒薬の払い出し割合は48.8%から52.9%へ増加し,推奨していない消毒薬は8.6%から1.2%へと減少した. 消毒薬の適正使用において現場確認および聞き取り調査に基づいた介入を行うことにより,消毒薬の使用状況を把握した上で標準化を図ることができることが示唆された.
Key words:消毒薬, 適正使用, 感染症対策マニュアル
連絡先: e-mail:
shimo@tokyo-med.ac.jp
受付日:2018年11月28日 受理日:2019年6月3日
34 (5):254─259,2019
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