─報告─
病棟における次亜塩素酸ナトリウムの浸漬消毒に関する実態調査
古見 嘉之1), 中村 造2), 下平 智秀1)2), 武居 幸1), 小松 亜矢子2), 奥川 麻美2), 添田 博1)2), 早川 司子2), 渡邉 秀裕2) 1)東京医科大学病院薬剤部, 2)同 感染制御部
当院ではこれまでに消毒薬適正使用支援チーム(DST)が次亜塩素酸ナトリウムによる浸漬消毒方法の標準化を行い,それに基づいて感染症対策マニュアルの改訂を行った.本検討では,改訂後のマニュアル遵守状況確認の一環として次亜塩素酸ナトリウムによる浸漬消毒について実態調査を行った. 調査期間および対象は,マニュアル改訂後の2018年9月から2019年3月の期間で,全病棟部門の22部署を対象とした.調査項目は次亜塩素酸ナトリウムの目視およびヒアリングによる消毒の実施状況を確認した.さらに,比色法による次亜塩素酸ナトリウム濃度の確認も行った. 全体で43件を調査し,全項目が調査可能であった41件について解析した.全体遵守率は36.6%(15件)であり,各項目では濃度の遵守率は58.5%(24件),消毒状況の遵守率は71.0%(29件),浸漬時間の遵守率は83.0%(34件)と,濃度に関わる不備が多い状況が確認された. 次亜塩素酸ナトリウムによる浸漬消毒の実態調査を行ったことにより,現場における不適正使用の実態が明らかとなった.また,濃度測定を含めた項目ごとの遵守状況の評価により,改善点を明確にすることができた.
Key words:次亜塩素酸ナトリウム, 消毒薬, 適正使用, 院内ラウンド
連絡先: e-mail:
yosi0809@tokyo-med.ac.jp
受付日:2020年5月9日 受理日:2020年7月16日
35 (5):206─209,2020
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