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Article in Japanese

─原著─

次亜塩素酸水およびエタノールと比較検討した貝殻焼成酸化カルシウム水の多目的な環境表面用洗浄・除菌剤としての有効性

石原 雅之1), 比留間 寿美代1), 秦 裕樹1), 中村 伸吾1), 金山 敦宏2), 加來 浩器2)
1)防衛医科大学校防衛医学研究センター医療工学研究部門, 2)同 広域感染症疫学・制御研究部門


貝殻焼成酸化カルシウム水(BiSCaO Water)は,ホタテ貝殻由来酸化カルシウムを基にした高濃度カルシウムイオン溶液であり,pH ≥12.7の無色透明な液体である.BiSCaO Waterは広範囲の殺微生物・ウイルス不活化効果を有しており,さらに生体や環境に優しい物質であることが知られている.本研究は,環境表面のための洗浄・除菌剤としてのBiSCaO Waterの有効性を,エタノールや次亜塩素酸水(200 ppm,pH 6.2)と比較して評価することを目的とした.アデノシン三リン酸(ATP)ふき取り検査ならびに簡易菌数測定の結果,BiSCaO Waterはエタノールや次亜塩素酸水と同様に,木板や布,金属,硝子板,ゴム,牛皮製品といった様々な環境表面に対して洗浄・除菌作用を示すことが明らかとなった.高濃度エタノールや次亜塩素酸水は環境負荷が大きく生体組織に有害作用を引き起こすことを考慮すると,BiSCaO Waterは安全性に優れる洗浄・除菌剤として期待される.

Key words:除菌, 洗浄, 環境表面, 貝殻焼成酸化カルシウム水

連絡先:
e-mail: ishihara@ndmc.ac.jp

受付日:2021年4月9日
受理日:2021年7月14日

36 (6):292─298,2021

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