─原著─
歯科診療用ユニット給水系中の微生物汚染に関する検討
神之田 理恵1), 渡邉 温子2), 松尾 美樹3), 小松澤 均3), 宮脇 正一2)4) 1)鹿児島大学病院臨床技術部歯科衛生部門, 2)同 発達系歯科センター矯正歯科, 3)広島大学大学院医系科学研究科細菌学, 4)鹿児島大学大学院医歯学総合研究科発生発達成育学講座歯科矯正学分野
目的:本研究の目的は,使用年数や消毒機能の有無など条件の異なる歯科診療用ユニット給水系中の微生物汚染状況を把握し,各ユニットにおけるフラッシングの効果を検討することである. 対象および方法:ユニット水は,月曜日と金曜日の診療開始前にスリーウェイシリンジからフラッシング前と10秒間のフラッシング後に採取した.消毒機能有りユニットは診療終了後毎の消毒が推奨されているが,本研究では金曜日の診療終了後のみに消毒液を停滞させ,翌月曜日の診療開始前に消毒液を排出し,10秒間のフラッシング後に採取した.採取したユニット水は普通寒天培地に塗布し,3日間培養後にコロニー数をカウントした. 結果:使用年数が長いユニットでは他のユニットに比較し有意に微生物数が多かった.使用年数が短いユニットではフラッシング前後での微生物数に有意に差を認めたが,使用年数が長いユニットではその効果は低かった.消毒機能有りユニットではフラッシング前後に関わらず微生物数は少なかった. 考察:歯科診療用ユニットの微生物汚染状況は各ユニットで異なっているため,各ユニットの定期的な検査とユニットに応じた洗浄が微生物数のコントロールに必要であることが示唆された.
Key words:水系システム, 汚染, 感染対策
連絡先: e-mail:
a-wtnb@dent.kagoshima-u.ac.jp
受付日:2021年12月28日 受理日:2022年6月7日
37 (5):183─189,2022
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