─総説─
糖尿病に伴う皮膚感染症と足病変
宮垣 朝光 東京大学大学院医学系研究科・皮膚科学
糖尿病は,血糖値が高い状態が持続することで,さまざまな合併症を引き起こし,患者のQOLの低下,寿命の短縮に至る慢性全身性疾患である.患者数,医療費は増加の一途を辿っており,その多彩な合併症のコントロールは非常に重要な命題となっている.皮膚科で主に遭遇する合併症は皮膚感染症と糖尿病性足病変である.ともに,患者の命を脅かすことがあり,生命の危機に陥らない場合であっても,患肢の切断などにより患者のQOLの低下につながる重要な合併症と考えられている.このような皮膚の合併症は,皮膚科医のみならず,糖尿病診療に携わる医療関係者は避けて通ることのできない領域と考えられる.本稿では,糖尿病性足病変および糖尿病に合併する皮膚感染症およびその対策について概説する.
Key words:糖尿病性足病変, 足白癬, 壊死性筋膜炎, フットケア, 患者教育
連絡先: e-mail:
miyagakit-der@h.u-tokyo.ac.jp
受付日:2017年8月8日 受理日:2017年8月28日
32 (6):337─343,2017
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