─proceedings─
COVID-19時代の呼吸器感染症診療のあり方
岩永 直樹1), 迎 寛2) 1)長崎大学病院呼吸器内科(第二内科), 2)長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野
COVID-19の世界的流行により,呼吸器感染症診療を取り巻く環境は一変している.COVID-19に関する新たな知見が日々世界中で構築されており,社会の関心は今まで経験したことがないほどに高まってきている.一般市民にも手指衛生の励行,ソーシャルディスタンスが広く浸透した結果,インフルエンザを始めとしたCOVID-19以外の感染症患者数は急激に減少した. COVID-19に関しては,基礎疾患を持つ患者や高齢者を中心に重症例が発生し医療を逼迫してきたが,ワクチン接種例における感染抑制効果がみられている.一方,変異株は感染性のリスクも高くなり,第5波ではワクチン未接種の若年者を中心に感染が拡大した.今後もウイルスは変異し続け,ワクチン非接種者も一定数存在することから,SARS-CoV-2感染症は今後も完全に根絶されることはないであろう.従って,今後の呼吸器診療においては,多数ある呼吸器感染症の鑑別疾患の一つとして,常にCOVID-19を考えていかなければならない.特に間質性肺炎の患者の初診においては,COVID-19肺炎の可能性に注意する必要がある.一方で,このコロナ禍においても,超高齢社会を背景に誤嚥性肺炎の患者数に大きな減少傾向はみられず,我が国の呼吸器診療における大きな課題のひとつである.
Key words:COVID-19, 間質性肺炎, 誤嚥性肺炎
連絡先: e-mail:
niwanaga@nagasaki-u.ac.jp
受付日:2022年6月15日 受理日:2022年7月11日
37 (6):235─238,2022
|