─原著─
BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種後の抗体価に関する要因の解析
丸山 浩平1)2), 足立 遼子2), 関谷 潔史1)3) 1)国立病院機構相模原病院感染対策チーム, 2)同 薬剤部, 3)同 アレルギー科/呼吸器内科
COVID-19へのBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種による感染および発症予防効果が示されているが,これらの効果は経時的な低下が報告されている.一方で,接種後の抗体価は感染予防効果との相関が示唆されているが,接種後から長期間経過した時点での抗体価に影響を与える要因の報告は少ない.我々はBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン2回目接種後の職員に抗体検査を実施し,6か月以上経過している場合の,抗体価に影響を与える要因について後ろ向き観察研究を行った.このうち過去にCOVID-19罹患が判明している職員,問診票による情報収集ができなかった職員は除外した.本研究において,2回目接種から6か月以上経過している場合,抗体価が大幅に低下していることが判明した.さらに,6か月以上経過している医療従事者において,単変量解析では年齢,性別,降圧剤の使用が抗体価に影響を与える要因とされ,多変量ロジスティック回帰分析では年齢のみが抗体価に影響を与える要因とされた.年齢については本邦だけではなく,海外からの報告でも抗体価に影響を与える要因とされている.本研究の結果より,ワクチン2回目接種から6か月以上経過している場合,高齢者においては時間経過によるワクチン抗体価の低下が若年層に比べて,より顕著であり,このことは高齢者において,ワクチンによる感染予防効果が時間的な影響をより受けやすいことを示唆していた.
Key words:COVID-19, SARS-CoV-2, ワクチン, 抗体価
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受付日:2022年2月18日 受理日:2022年7月6日
37 (6):248─255,2022
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