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Article in Japanese

─原著─

IVH用輸液調製時のクリーンベンチ設置環境がクリーンベンチ内清浄度に及ぼす影響

黒田 誠一郎1), 清海 杏奈2), 今井 志乃ぶ3), 杉浦 宗敏2)
1)東京大学医科学研究所附属病院薬剤部, 2)東京薬科大学薬学部医薬品安全管理学教室, 3)昭和大学薬学部薬剤疫学部門


注射薬を混合調製する場合は空気中の浮遊微粒子や微生物による汚染を防ぐために米国連邦規格Class 100(100個/ft3以下)に維持されたクリーンベンチで,無菌操作を行うことが重要である.しかし,調製作業時の気流の乱れなどにより,クリーンベンチ内の清浄度が設置環境の影響を受ける可能性がある.我々は,クリーンベンチを平均浮遊微粒子数(A)1,000,(B)30,000,(C)300,000個/ft3の異なる環境下に設置し,かつSashを20 cmおよび40 cmに開口した条件でIVH用輸液の混合調製を行った時のクリーンベンチ内の微粒子数および微生物数を測定した.微粒子数はSashを20 cmに開口した場合,いずれの設置環境でもClass 100を維持していたのに対し,40 cm開口した場合はいずれの設置環境においてもClass 100を維持できなかった.また,微生物数はSashを20 cmに開口した場合は,すべての測定点で微生物の検出はなかったが,40 cmに開口した場合は,すべての環境で微生物が検出され,(C)においてNASAの基準範囲である0.1個/ft3以下を超えていた.以上から,クリーンベンチ設置環境とSashの開口幅がクリーンベンチ内の微粒子数および微生物数清浄度に影響を及ぼすことが示唆された.

Key words:クリーンベンチ, 空気中浮遊微粒子, 空気中浮遊微生物, 調製環境, 無菌調製

連絡先:
e-mail: hotoda-tky@umin.ac.jp

受付日:2022年11月25日
受理日:2023年2月18日

38 (3):114─122,2023

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