─報告─
大腸手術におけるフィードバックに重点をおいた手術部位感染サーベイランスの効果
大東 芳子1), 森兼 啓太2) 1)独立行政法人地域医療機能推進機構神戸中央病院, 2)山形大学医学部附属病院
大腸手術508例を対象にフィードバックに重点をおいたSSIサーベイランスを実施した.期間は2013年1月より2020年12月までで,2015年1月から12月を介入導入期とし,2013年1月から2014年12月を前期,2016年1月から2020年12月を後期とした.SSI防止の介入策として,感染対策チーム(infection control team:ICT)が6か月毎に外科医師,手術室看護師,外科病棟看護師を対象にフィードバックを実施した.フィードバックでは対象者が主体的にSSI防止策について意見交換を行う機会の提供に努めた.SSI発生率の平均は前期30.2%,後期13.4%(P<0.001)であり,統計学的に有意に低下した.SSI発生のリスク因子についてロジスティック回帰分析を行った結果,男性(オッズ比:2.30,95%信頼区間:1.320-3.980,P<0.01)はSSI発生の独立した危険因子であり,内視鏡(オッズ比:0.39,95%信頼区間:0.233-0.665,P<0.001)とフィードバックを実施した後期(オッズ比:0.51,95%信頼区間:0.299-0.853,P=0.01)はSSI発生の独立した防御因子であった.これにより,フィードバックに重点をおいたSSIサーベイランスはSSI発生率を低下させることが示唆された.
Key words:手術部位感染, フィードバック, サーベイランス, リスク因子
連絡先: e-mail:
daito-yoshiko@kobe.jcho.go.jp
受付日:2022年6月7日 受理日:2023年3月1日
38 (3):143─147,2023
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