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Article in Japanese

─原著─

3次元皮膚モデルを用いた擦式アルコール手指消毒薬のin vitro皮膚刺激性試験

坂木 晴世
国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科看護学分野感染管理・感染看護学領域


背景:手荒れ予防のためには,皮膚刺激の少ない擦式アルコール手指消毒薬(ABHR)の選択が重要である.本研究では,7種類のABHRについて3次元皮膚モデルを用いた皮膚刺激性試験で比較した.
方法:試験はOECDテストガイドライン(TG439)に準拠し,細胞生存率は50%以下,IL-8発現率は陰性対照のIL-8発現量に対する割合が高い場合に刺激性ありと判定した.エタノール濃度は,試薬1が78.89 vol%,試薬2と3は72 vol%,試薬4と5は76.9~81.4 vol%,試薬6と7は83 vol%であった.試薬1から5はエタノール単剤で,試薬6と7は0.2 w/v% クロルヘキシジングルコン酸塩(CHG)含有製剤であった.試薬1から3はpH 6.0~9.0,試薬4と5はpH 2.6~4.0,試薬7はpHが5.5~7.0で,試薬6のpHは非公表であった.
結果:平均細胞生存率は,エタノール単剤の試薬1から3が88%,110%,79%,低pHの試薬4と5が68%と61%であった.0.2 w/v% CHG含有の試薬6と7が2.1%と1.8%で刺激性ありと判定した.IL-8発現率は,低pHの試薬4と5(183%と141%)と0.2 w/v% CHG含有製剤の試薬6(118%)で上昇した.
結論:3次元皮膚モデルを用いた皮膚刺激性試験において,エタノール単剤のABHRは皮膚刺激性が低かった.

Key words:擦式アルコール手指消毒薬, 皮膚刺激, エタノール濃度, 3次元皮膚モデル

連絡先:
e-mail: sakakih-tky@umin.ac.jp

受付日:2022年11月14日
受理日:2023年3月16日

38 (4):173─180,2023

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