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─原著─

当院でのアジュバント添加組換え帯状疱疹ワクチンの接種患者背景と,2回接種における局所および全身性副反応の比較検討

大林 浩幸
医療法人秀嶺会東濃中央クリニック


アジュバント添加組換え帯状疱疹ワクチン(シングリックス)は長期間免疫原性が持続し有効率も高いが,接種費用と2回接種が導入の妨げとなっている.本研究は患者の接種決定の理由や,接種1回目と2回目の副反応の差を検討した.2021年8月から同予防接種を開始した当院外来患者128名(73.9±7.9歳,男女比39/89)を対象に診療録に基づき後ろ向きに検討した.患者は医師からの説明(64.1%)や院内掲示板(35.2%)で同ワクチンを知り,罹患歴がなく心配(50.0%),再罹患したくない(33.6%),罹患した家族や知人を見て(32.8%)等の理由で接種を決定した.接種1回目と2回目の接種部位局所性副反応の発現率は,腫れ74.2% vs 70.1%,発赤68.0% vs 66.1%,痛み85.2% vs 81.1%,全身性副反応は発熱26.6% vs 28.3%,疲労感29.7% vs 34.6%,筋肉痛22.7% vs 26.8%でほぼ同程度であった.発赤の持続期間は,1回目に比較し2回目では有意に短縮した(p=0.015).1回目副反応ありの患者が2回目も同じ副反応を発現する率は,発赤73.3%,腫れ69.1%,痛み82.4%,発熱70.6%,疲労感47.4%,筋肉痛41.4%で,2回目も生じるとは限らなかった.しかし,1回目に発赤,疲労感,発熱,筋肉痛の副反応が生じた患者は,1回目に生じなかった患者と比較し,2回目の発現率が有意に高かった.75歳以上では1回目の発熱,悪寒,頭痛,疲労など全身性副反応の発現率が有意に低かった.35.4%の患者が1回目の副反応と比べ,2回目はより軽微と回答した.本検討により,日本人における,同ワクチンの接種決定の理由が明らかになり,接種後副反応は許容されうる程度であることが示された.

Key words:ワクチン, 副反応

連絡先:
e-mail: ohbayasi@nn.iij4u.or.jp

受付日:2023年2月6日
受理日:2023年12月5日

39 (2):37─46,2024

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