─報告─
医療関係者のためのワクチンガイドライン第2版に準じたウイルス感染対策
上牧 勇1)2), 福本 由紀2), 工藤 圭美2), 後藤 智彦3) 1)国立病院機構埼玉病院小児・周産期センター, 2)同 Infection Control Team, 3)国立病院機構茨城東病院
2014年に医療関係者のためのワクチンガイドライン(以下ガイドライン)は第2版が公開された.当院ではガイドラインに準じて,麻疹,風疹,水痘,ムンプスについてワクチン接種歴とウイルス抗体価管理を行なった.職員には母子手帳のコピー,自分で管理しているウイルス抗体価の提出を求め,これまでのウイルス抗体価検査の結果と合わせてInfection Control Team(ICT)でデータベースを作成し,今後の推奨する4種類の対応についてデータベースに入力した.職員のワクチン接種歴,抗体価を合わせた評価,母子手帳の提出率,ワクチン接種率について検討を行った.ガイドラインで免疫ありと判断する2回のワクチン接種記録がある者,2回抗体価が基準を満たす陽性だった者,基準を満たさない抗体陽性でワクチン接種を受けた者は,麻疹で155例(33.0%),風疹145例(30.9%),水痘116例(24.7%),ムンプス115例(24.5%)であった.母子手帳のコピーの提出率は,在職者で8%,2015年4月1日の新入職者は60%で有意差(p<0.001)を認めた.ガイドラインに基づいた管理をするにあたり,当院では,母子手帳の提出率が低く予防接種歴が確認できないことが問題であった.今後は,ワクチン接種歴,抗体価を病院と個人で管理することにより異動にも対応可能となると考えられた.
Key words:ウイルス感染, ワクチンガイドライン, 母子手帳
連絡先: e-mail:
ikami@wakho.hosp.go.jp
受付日:2017年10月31日 受理日:2018年6月6日
33 (5):203─206,2018
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