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Article in Japanese

─原著─

アンチバイオグラムとクリティカルパスを用いた抗菌薬投与支援が抗菌薬適正使用に及ぼす影響

松木 祥彦1)2), 石毛 宏治1)2), 石田 雅也2), 跡治 江理奈1)3), 風間 健美1)4), 谷平 哲哉5), 荒木 和憲1)6), 渡部 多真紀7), 渡辺 茂和7)
1)上尾中央医科グループ柏厚生総合病院感染管理委員会, 2)同 薬剤科, 3)同 看護部, 4)同 検査科, 5)同 内科, 6)同 小児科, 7)帝京大学薬学部実務薬学


多剤耐性菌の出現は,感染症の重症化や入院期間が延長するなど医療経済的にも大きな負担を生じる.我々は,アンチバイオグラムを用いて有効性の高い抗菌薬を医師に提案することで,抗緑膿菌活性を有する抗菌薬の使用割合を減少させた.また,入院期間が長い肺炎に注目し,クリティカルパス(CP)を用いて治療の標準化を行った.CPの導入は,不適切な抗菌薬の使用により治療効果が十分に発揮されない症例や起因菌が特定できない症例に対して使用していたカルバペネム系抗菌薬を削減した.その結果,抗緑膿菌活性を持つ抗菌薬に対するカルバペネム系抗菌薬の% antimicrobial use densityと% days of therapyは,活動開始前は,それぞれ43.7%と34.1%であったが,活動開始後は,23.6%と25.8%に減少した.Pseudomonas aeruginosaに対する抗菌薬感受性率(%)は,cefepime(活動開始前:71.3/活動開始後:93.6),meropenem(64.4/92.9),doripenem(65.0/94.7),ciprofloxacin(68.8/92.9)と,それぞれ有意に改善した(P<0.01).今回我々が行った活動は,診療の質を損なわずに広域スペクトラム抗菌薬の使用を減少させ,P. aeruginosaの抗菌薬感受性率を改善させたと考えられた.

Key words:アンチバイオグラム, クリティカルパス, antimicrobial use density, days of therapy, Pseudomonas aeruginosa

連絡先:
e-mail: cds306@crest.ocn.ne.jp

受付日:2018年4月10日
受理日:2018年9月26日

34 (1):28─39,2019

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