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Article in Japanese

─原著─

年齢層別にみた医師と看護師における針刺し報告率の比較

平光 良充1)2), 李 宗子2), 吉川 徹2)3), 木戸内 清2)4), 満田 年宏2)5), 網中 眞由美2)6), 細見 由美子2)7), 黒須 一見2)8), 國島 広之2)9), 森澤 雄司2)10), 和田 耕治2)11), 森兼 啓太2)12), 森屋 恭爾2)13)
1)名古屋市衛生研究所, 2)職業感染制御研究会, 3)独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 4)名古屋市保健所昭和保健センター, 5)東京女子医科大学, 6)国立看護大学校, 7)International Safety Center, 8)国立国際医療研究センター, 9)聖マリアンナ医科大学, 10)自治医科大学, 11)国際医療福祉大学, 12)山形大学, 13)東京大学


本研究の目的は医師と看護師の針刺し報告率を年齢層別に比較することである.エピネット日本版サーベイランスに参加している118施設に対し,2013年4月から2015年3月までに自施設に報告された針刺しについてデータ提供を求めた.86施設から6,164件の提供があった.すべての報告のうち,医師または看護師による報告は4,455件であった.本研究では,そのうち曝露源患者が判明した3,703件(医師1,326件,看護師2,377件)を対象として,報告事例のうち曝露源患者がHCV検査またはHBs抗原検査陽性である割合(肝炎ウイルス陽性針刺し割合)を算出した.肝炎ウイルス陽性割合は,医師が23.8%(95%信頼区間:21.5-26.0%),看護師が13.9%(12.5-15.3%)で医師の方が高く(p<0.01),年齢調整後でも医師の方が高かった(p<0.01).また,看護師では年齢層と肝炎ウイルス陽性針刺し割合に関連はみられなかったが(p=0.77),医師では年齢層が高いほど肝炎ウイルス陽性針刺し割合が上昇していた(p<0.01).曝露源患者が感染症検査陰性の場合には針刺しが未報告になりやすいことが先行研究により明らかにされている.本研究結果から,医師は看護師より報告率が低く,医師では年齢層が高いほど報告率が低下すると考えられた.医師に対して針刺しをすべて報告するよう啓発することが必要である.

Key words:針刺し切創, 報告率, 医師, 看護師, 年齢層

連絡先:
e-mail: y.hiramitsu.75@gmail.com

受付日:2018年9月26日
受理日:2018年11月9日

34 (1):45─49,2019

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