─報告─
在宅領域における感染管理に関する研究の動向―2007年~2014年の看護系国内文献から―
嶌 ひかり1), 徳重 あつ子2), 横島 啓子2), 久山 かおる2) 1)元武庫川女子大学大学院看護学研究科修士課程, 2)武庫川女子大学大学院看護学研究科
2007年CDCから公表されたガイドラインにおいて「院内感染」という用語は「医療関連感染」へと変更された.その背景には,在宅やケア施設での感染管理の重要性が増したことが挙げられる.また,同年改正された医療法では院内感染制御体制は整備されたが,在宅領域での整備は行われなかった.そこで,本研究では,在宅領域における感染管理に関する研究の動向について看護系国内文献での検討を行い,今後の課題について明らかにすることとした.2007年~2014年の期間で医学中央雑誌とCiNiiを用いて,「在宅」と「感染管理」「感染予防」「感染制御」「感染対策」のそれぞれの組み合わせでキーワード検索を行い,さらに「在宅」と「感染予防管理」の組み合わせでシソーラスによる主題検索を行った.抽出された文献から,総説,解説,会議録を除く論文33件を対象とし,掲載年次・掲載数,研究対象,データ収集方法,研究分類,研究内容を検討した.論文件数は1年あたり1~8件で2009年が8件(24.2%)と最も多く,研究対象は「療養者」27.7%,データ収集方法は「質問紙調査」48.6%,研究分類は「観察研究」75.8%であった.研究内容は「感染管理の基礎的技術」,「医療処置における感染管理」「組織的に行う感染管理」が多い傾向であった.今後はこれらの研究の蓄積と対象者数を増やしていくことが必要と考えられた.
Key words:在宅, 感染管理, 文献検討
連絡先: e-mail:
tokusige@mukogawa-u.ac.jp
受付日:2018年6月4日 受理日:2019年3月12日
34 (3):190─205,2019
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