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Article in Japanese

─原著─

手術部位感染過少報告に対する医師と感染管理担当者協働で実践する改善活動

小美野 勝1), 吉松 和彦2), 西村 和幸1)
1)社会福祉法人恩賜財団済生会支部埼玉県済生会栗橋病院感染対策室, 2)同 外科


手術部位感染サーベイランスにおいて,感染管理担当者が創部の直接観察を行うことが望ましいとされているが,実施している施設は42.1%で過少報告の可能性が示唆されている.過少報告では手術部位感染(Surgical Site Infection,以下SSI)症例を拾い落とすこととなり,サーベイランスの質を大きく低下させる.当院では,外科医師と病棟看護師で行う直接観察により過少報告に陥っている可能性が示唆されたため,2016年の外科症例を後方視的に再判定した.また2017年には感染管理認定看護師(Certified Nurse in Infection Control,以下CNIC)による直接観察を実施し,SSI判定を医師とともに行った.2016年のSSI発生率は498名中13名(2.6%)であったが,再判定では44名のSSI発生(8.8%)があり,6.2%の過少報告であった(p<0.001).2017年は,医師が単独で判定した症例は133名中13名(9.8%)であったが,CNIC判定では21名(15.8%)のSSI発生があり,6.0%の過少報告であった(p=0.099).CNICによる直接観察は,サーベイランスの精度を高める有効な手段であることが示唆された.

Key words:手術部位感染, 直接観察, 過少報告, 感染管理認定看護師, 精度管理

連絡先:
e-mail: nintei.komino.cnic@saikuri.org

受付日:2019年3月11日
受理日:2019年6月17日

34 (5):246─253,2019

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