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Article in Japanese

─原著─

炎症性腸疾患における中心静脈カテーテル関連血流感染リスク因子の検討

石川 かおり1), 竹末 芳生1), 一木 薫1), 土田 敏恵2), 中嶋 一彦1), 植田 貴史1), 山田 久美子1), 高橋 佳子3)
1)兵庫医科大学病院感染制御部, 2)兵庫医療大学看護学部, 3)兵庫医科大学病院薬剤部


潰瘍性大腸炎(UC),クローン病(CD)などの炎症性腸疾患(IBD)は,入院加療時,高率に中心静脈カテーテル(CVC)を挿入する.今回,IBD患者における中心静脈カテーテル関連血流感染(CLABSI)リスク因子について調査した.調査項目は,宿主に関連した13因子,カテーテル管理3因子および疾患活動性を評価した.対象のIBD患者は562例で,UC 228例(40.6%),CD 334例(59.4%)であった.感染率はIBD全体で9.6%,UC 8.3%,CD 10.5%で(P=0.397)1,000 device-daysでは各々4.9,4.4,5.3であり(P=0.501),UCとCDの感染率には差を認めなかった.CLABSIの独立したリスク因子は,UCでは生物学的製剤の使用(OR:4.98,95% CI:1.81-13.69),CDでは,男性(OR:5.38,95%CI:1.85-15.64),疾患活動性 重症/中等症(OR:2.54,95%CI:1.20-5.38)であった.週2回以上の入浴/シャワー浴はUC,CDともにリスク低減因子であった(UC:0.17,0.06-0.44,CD:0.33,0.15-0.72).一般的なCLABSIリスク因子とは異なったIBD特有のリスク因子が示され,日常管理として入浴/シャワー浴の重要性が示された.

Key words:炎症性腸疾患, クローン病, 潰瘍性大腸炎, 中心静脈カテーテル関連血流感染, リスク因子

連絡先:
e-mail: i-kaori@hyo-med.ac.jp

受付日:2019年5月23日
受理日:2019年9月5日

34 (6):296─301,2019

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