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─報告─

看護学生の見学実習における手指衛生実施状況―携帯型手指消毒薬の有効性―

葛城 建史
国際医療福祉大学成田看護学部看護学科


手指衛生は医療関連感染対策において,最も基本的かつ重要な対策である.看護基礎教育において看護学生を手指衛生が適切に実施できるよう意識づけ,行動化に結び付けていくことが重要な課題である.しかし,看護学生の実習における手指衛生実施状況に関する調査はほとんどなかったため,2016年に1年次の実習における手指衛生実施状況を調査した.看護師は携帯型手指消毒薬を使用していたが学生は持っておらず,看護師についていくのを優先したために手指衛生ができない状況があることがわかった.そこで,2017年は手指消毒薬を導入した.本研究では,手指消毒薬を携帯していない場合と携帯した場合の手指衛生実施状況を比較し,携帯することによる効果を検討することとした.2016年(未携帯群)も2017年(携帯群)も,実習中の手指消毒薬による手指衛生に関して,実習終了時に自記式質問紙により調査した.調査内容は,必要なタイミングで実施できたか,手指衛生を実施しなかった理由について,さらに,携帯群においては,どこの手指消毒薬を使用したか,携帯型手指消毒薬に対する感想とした.携帯群では,未携帯群より手指衛生が必要なタイミングで「できた」と答えた学生の割合が増加し,備え付けの手指消毒薬よりも携帯型を多く使用していた.以上から,ケアを行わない見学実習においても,携帯型手指消毒薬の使用は手指衛生の遵守率向上に有効であると考えられた.

Key words:手指衛生, 看護学生, 臨地実習, 携帯型手指消毒薬, 看護教育

連絡先:
e-mail: k.katsuragi@iuhw.ac.jp

受付日:2019年6月25日
受理日:2019年10月17日

35 (1):58─62,2020

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