─報告─
薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン目標達成に向けた経口第三世代セファロスポリン系抗菌薬およびフルオロキノロン系抗菌薬使用量削減の取り組みと成果
田杭 直哉1), 近藤 匡慶1), 黒田 香織1), 菅谷 量俊1), 鈴木 美子2), 丸山 弘3), 髙瀬 久光1) 1)日本医科大学多摩永山病院薬剤部, 2)同 中央検査室, 3)同 外科
現在,薬剤耐性菌の蔓延が喫緊の問題となっており,その対策として,厚生労働省は薬剤耐性(AMR)対策アクションプランを策定し,成果目標の1つとして抗菌薬使用量を2020年に2013年の水準から33%削減することを盛り込んだ.その特徴として本邦での使用量が多い経口のセファロスポリン系抗菌薬,フルオロキノロン系抗菌薬,マクロライド系抗菌薬は50%という高い削減目標を課せられている.耐性菌蔓延の背景の一つとして抗菌薬の不適切使用が考えられており,各医療機関で抗菌薬適正使用に関する様々な取り組みが行われている.しかしながら注射用抗菌薬に対しての取り組みの報告はあるが,経口抗菌薬に対するものは数少ない.今回我々は,経口第3世代セファロスポリン系抗菌薬,経口フルオロキノロン系抗菌薬を中心に,使用量削減につながる様々な対策を行い,その成果について検討した.その結果,経口第3世代セファロスポリン系抗菌薬と経口フルオロキノロン系抗菌薬使用量の有意な減少,および腎機能障害患者に対する経口フルオロキノロン系抗菌薬の過剰投与症例の減少が認められた.
Key words:抗菌薬使用量, 薬剤耐性(AMR), 経口第3世代セファロスポリン系抗菌薬, 経口フルオロキノロン系抗菌薬, 腎機能障害
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受付日:2020年1月14日 受理日:2020年8月18日
35 (6):247─253,2020
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