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─原著─

新人看護師教育におけるThe Health Action Process Approach(HAPA)理論を適用した手指衛生遵守のための介入と効果

山本 容子1), 室田 昌子1), 滝下 幸栄1), 西内 由香里2), 原田 清美1), 岩脇 陽子1)
1)京都府立医科大学医学部看護学科, 2)京都府立医科大学附属病院看護部


本研究は,新人看護師教育におけるthe Health Action Process Approach(HAPA)理論を適用した手指衛生遵守のための介入の効果を検討した.
新人看護師を同じ病院で年毎に介入群と比較群に割り付けた.介入は,手指衛生の計画を立案するアクションプランニング,予想される障害と対処を立案するコーピングプランニング,臨床での実践と自己評価を含んだ.
介入群19名,比較群21名を分析した.HAPA理論を用いた新人看護師の手指衛生認知尺度の比較では,コーピングプランニング,アクションプランニング,アウトカム予期の得点が介入2か月後において介入群に高かった(p=.025, .029, .001).場面の適切性のみで判定する手指衛生の実施率はベースラインから介入直後の差が介入群に大きかった(p=.045).場面の適切性と手指衛生の手技を所要時間から判定した実施率では両群に有意差は認めなかった.グループワークからは〈忙しさから時間がとれない〉等のサブカテゴリーからなる【行動化を妨げる個人外の要因】等が抽出された.
本介入は手指衛生に関する認知的側面を強化し,適切な場面における手指衛生の実施に一定の効果を示した可能性が示唆された.しかし,手技の判定を含めた実施についての明らかな効果は認められず,手指衛生の時間を十分にとることができないといった個人外の要因の影響が推察された.

Key words:the Health Action Process Approach(HAPA), 手指衛生, 介入, 新人看護師

連絡先:
e-mail: yokoy@koto.kpu-m.ac.jp

受付日:2020年10月30日
受理日:2021年3月17日

36 (4):222─230,2021

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