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Article in Japanese

─原著─

医療従事者におけるBNT162b2ワクチン接種後のSARS-CoV-2抗体調査

大西 新介1), 山崎 晃憲2), 菊池 航紀3), 嶋村 昌之介4), 菅谷 文子5), 安保 義恭6)
1)手稲渓仁会病院救急科, 2)同 薬剤部, 3)同 感染症科, 4)同 腎臓内科, 5)同 呼吸器内科, 6)同 外科


COVID-19に対するBNT162b2ワクチン接種後の医療従事者におけるSARS-CoV-2抗体保有状況を調査した.当院職員307名を対象にワクチン2回接種2週後にWondfo SARS-CoV-2 Antibody Testによる迅速定性検査を行った.結果はラインの色の強さにより0から5のスコアリングで判定した.既感染者14例のうち12例(85.7%),未感染者293例中67例(22.9%)がスコア5を呈していた.スコア5を予測する因子としては既感染および接種後発熱が有意であり調整オッズ比はそれぞれ19.6(95%CI,4.97-131),2.6(95%CI,1.31-4.88)であった.一部検体はELISA法により抗スパイク蛋白抗体価を測定し,最終的に307例中306例(99.7%)において抗体保有が確認された.本研究以前に施行したワクチン接種前,1回接種後の抗体検査結果も含めて解析を行った.定性検査のスコアが高いほど抗体価は高値であった.ワクチン前後の抗スパイク蛋白抗体価の平均値は,未感染者の2回接種後が7819±3822 AU/mL,既感染者の接種前が1132±1007 AU/mL,既感染者の1回接種後が18070±4183 AU/mL,既感染者の2回接種後が30206±9740 AU/mLであり,いずれの組み合わせにおいてもp<0.01で有意差が認められた.

Key words:COVID-19, SARS-CoV-2, ワクチン, 抗体, ラテラルフロー法

連絡先:
e-mail: ohnishi-sh@keijinkai.or.jp

受付日:2021年8月20日
受理日:2021年10月22日

37 (1):10─17,2022

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