─報告─
特別養護老人ホームケアスタッフの実状に基づくCOVID-19に対する感染対策てびき書の作成
松田 優子, 近藤 香苗, 小林 尚司, 森田 一三, 下間 正隆 日本赤十字豊田看護大学
目的:特別養護老人ホーム(以下,特養)のケアスタッフにおいて強化が必要な感染対策に関する知識・技術を明らかにし,得られた情報に基づき実用性のある感染対策のてびき書(以下,てびき)の作成を行うことを目的とした. 方法:2020年12月~翌年3月に特養の感染対策担当者を対象に,感染対策の知識・技術に関する無記名自記式質問紙調査を郵送法により行った.感染対策に関する項目ごとに,特養のケアスタッフに強化を望む感染対策担当者の数と,そうでない感染対策担当者の数の比率の差をカイ二乗検定で分析した. 結果:有効回答者数は299人,感染対策経験年数は6.8年(±5.51:SD)であった.有意差がみられた項目は,インフルエンザ,ノロウイルス感染症,新型コロナウイルス感染症のいずれも「特徴や知識」,「平常時の対応,予防の理解」,「疑ったときの対応」であった.これに加え,新型コロナウイルス感染症では「勤務時間以外の三密回避行動」,「職員自身の健康管理」,「個人防護具の着脱方法」の項目があがった.これらを中心にてびきの内容を構成した. 結論:ケアスタッフにおいて強化が必要な感染対策に関する知識・技術はインフルエンザ,ノロウイルス感染症,新型コロナウイルス感染症のいずれにおいても共通していた.これらの項目を中心にイラストを豊富に使用した,職員が必要時に対応できる内容の感染対策のてびきを作成した.
Key words:特別養護老人ホーム, 感染対策, 新型コロナウイルス, インフルエンザウイルス, ノロウイルス
連絡先: e-mail:
y-matsuda@rctoyota.ac.jp
受付日:2021年10月23日 受理日:2022年2月5日
37 (3):100─109,2022
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