─報告─
コロナウイルス感染症2019患者への対応に苦慮する感染病棟スタッフへの介入効果
鎌倉 寿美子, 吉澤 京子, 常盤 雅子, 田中 陽子 飯田市立病院看護部
本研究では,コロナウイルス感染症2019(COVID-19)患者への対応に苦慮する感染病棟スタッフに感染管理認定看護師(CNIC)が介入し,感染看護の捉え方と心理的ストレスの軽減に与えた効果を考察した.長期入院したCOVID-19患者の看護の質向上に向けた介入としてカンファレンスを開催し,CNICによる相談対応およびグループディスカッションを実施した.介入前後に,自由記述式で感染看護等の捉え方を問う調査とストレス評価を実施した.自由記述に関してはアフターコーディングを行い,ストレス評価の結果は記述統計を用いて分析した. その結果,感染病棟スタッフは「感染領域」として区別したゾーンでの患者対応等で感染することに不安を抱いていたことが分かった.そこで医療従事者の曝露リスク評価をもとに感染領域内での行動を評価した.また,具体的な看護実践方法として,看護師付き添いによる患者の屋上散歩と感染領域内の定期的な環境チェックを導入した. 介入前は,感染病棟スタッフの41.7%が感染看護を「患者に関わらない/感染領域に入らないこと」と捉えていたが,介入後は0%となった.ストレス評価では,介入前は感染に対する恐怖や不安を抱いている対象者が83.3%を占めたが,介入後は72.7%に微減した. 以上のことから,CNICによる介入は,感染病棟スタッフの感染看護の捉え方を変化させ,看護上のストレス軽減につながったと考えられる.
Key words:COVID-19, 感染看護, グループディスカッション
連絡先: e-mail:
kamakura-sumiko@pref-nagano-hosp.jp
受付日:2021年4月3日 受理日:2022年3月11日
37 (4):143─147,2022
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