─報告─
中小病院におけるAntifungal Stewardshipが及ぼすCandida血症の患者アウトカム検討
星 貴薫1), 和田 直樹2), 井畑 理沙3), 菅沼 美里3), 松田 まなぶ3), 山田 和範4), 佐藤 秀紀5) 1)札幌徳洲会病院薬剤部, 2)同 臨床検査室, 3)同 感染管理室, 4)中村記念病院薬剤部, 5)北海道科学大学薬学部薬学科臨床薬学系薬物治療学分野
中小病院で実践する抗真菌薬適正使用支援(Antifungal Stewardship:AFS)の有用性とAFSの介入ポイントについて検討した.2016年4月~2020年3月の期間に血液培養よりCandida spp.が検出された入院患者を2016~2017年度(介入前群),2018~2019年度(介入後群)に割付けし,AFS前後における患者アウトカムの変化について比較検討を行った.対象例は介入前群28例,介入後群23例の全51例,除外症例は4例であった.30日死亡率は,介入前群39.3%,介入後群39.1%で有意差は認められなかった.抗真菌薬の変更割合(種類)は,介入前群7.1%から介入後群44.0%と有意な増加を示した(p<0.05).また30日死亡に対する多変量ロジスティック回帰分析において,血液培養陽性から72時間以内の適正抗真菌薬の投与,Candida glabrataの分離が死亡リスク低下因子であることが示された(p<0.05).これら結果より,Candida菌株を早期に同定し,適正な抗真菌薬治療を早期に開始することが,重点的介入ポイントであることが示された.多くの中小病院では,これら役割を担うのは薬剤師であり,主導的関わりが重要である.
Key words:抗真菌薬適正使用支援, Candida血症
連絡先: e-mail:
hoshi.s.t.h@gmail.com
受付日:2022年4月11日 受理日:2022年6月24日
37 (5):210─215,2022
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