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Article in Japanese

─総説─

手術部位感染対策

清水 潤三
市立豊中病院外科


手術部位感染(Surgical Site Infections:以下SSI)は一旦発生すると患者の手術に対する満足度が低下するだけでなく,医療資源を消費し病院経営だけでなく国全体の医療費に影響を及ぼす可能性がある.できるだけSSIを発生させないように防止策をとることが重要であるが,科学的根拠のある対策であるだけでなく費用対効果も求められている.SSIに関する論文は年間3000件以上と大量に公表されており,医療者が個人的に学習することは物理的に不可能である.そこで診療ガイドラインを参考に対策を立てることとなるが,ガイドラインも複数発行されており,どのようなガイドラインを参照するかも課題となる.
手術前の対策として問題となるのはMRSAの鼻腔保菌の確認と除菌についてや大腸手術の腸管処置について議論があると考えられる.手術時の対策として,手術部位の皮膚消毒に使用する消毒薬,予防的抗菌薬の術中追加投与,手術時手袋の二重装着,抗菌縫合糸の使用,予防的ドレーンについてはガイドラインでの推奨を臨床に適応していない施設もあり,改善の余地がある領域と考えられる.
本稿では,ガイドラインというものの有用性と限界をまず確認し,様々なガイドラインの相違点を検証し,日常診療にどのように取り込んでいくかを解説する.

Key words:手術部位感染, 診療ガイドライン, 費用対効果

連絡先:
e-mail: junzoshimizu@gmail.com

受付日:2022年5月23日
受理日:2022年9月6日

38 (1):1─6,2023

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