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Article in Japanese

─原著─

テイコプラニンとタゾバクタム/ピペラシリンの併用投与における腎機能への影響

松屋 翔太, 川端 俊介
関西労災病院


近年,バンコマイシン(VCM)とタゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)の併用投与は急性腎障害(AKI)の発現率が上昇するという調査結果が多数報告されている.しかし,VCMの類薬であるテイコプラニン(TEIC)とTAZ/PIPCの併用投与に関する報告は少ない.今回,TEICとTAZ/PIPCの併用投与における腎機能への影響に関して調査を行った.
TEIC,TAZ/PIPC併用群(TT群)と比較対象としてTEIC,メロペネム併用群(TM群)を2018年1月~2022年1月の期間内で抽出し,腎機能の変化等について後方視的に調査した.
TT群75件,TM群95件が抽出された.AKIの発現率はTT群で16.0%(12件),TM群で14.7%(14件)であった.背景因子を調整するため逆確率重み付け法を用いた傾向スコア分析で比較すると有意差はみられなかった(P =0.56).AKIの発現までの日数にも差はみられなかった.また,AKIの発現に関わるリスク因子の探索のため,多変量解析を行ったところ併用期間,昇圧薬の投与,ループ利尿薬の投与がリスク因子として抽出された.
本研究ではTT群はTM群と比較してAKIの発現率を上昇させなかった.感染症治療においてTAZ/PIPCに抗MRSA薬を追加する場合,VCMよりもTEICの方が腎機能の面でより安全に使用できると考えられる.

Key words:テイコプラニン, タゾバクタム/ピペラシリン, メロペネム, 併用療法, 急性腎障害

連絡先:
e-mail: matsuya-shota@kansaih.johas.go.jp

受付日:2022年4月19日
受理日:2022年9月22日

38 (1):16─21,2023

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