─原著─
院内給水におけるレジオネラ属菌定期環境検査の有効性
伏見 華奈1), 土屋 憲1)2), 齋藤 敦子1), 更谷 和真1)3), 原田 晴司1)3), 芦澤 洋喜1)4), 増田 昌文1)4) 1)静岡市立清水病院感染対策委員会, 2)同 検査技術科, 3)同 薬剤部, 4)同 呼吸器内科
当院では1997年から給水系123箇所を対象にレジオネラ属菌定期環境検査を行っている.データが保存されている2008年以降,トイレ・洗面手洗い場,患者共有シャワー,歯科ユニットなど47箇所からレジオネラ属菌が検出された.うち24箇所は,繰り返し同種のレジオネラ属菌が検出され,レジオネラ属菌が給水系に定着しており発育と増殖に適した環境が存在する可能性が示唆された.レジオネラ属菌の環境対策に難渋したが,反復する環境検査により,レジオネラ属菌の汚染状況を日常的に把握し,汚染場所や感染源を特定し,場所に応じた対策を講じることができた.現時点まで院内感染によるレジオネラ症患者は見られていない.環境検査の費用は,2021年4回の定期環境検査は,224,844円/年であった. レジオネラ属菌の定期環境検査は,適切な衛生管理を要する院内感染対策において重要な情報源となる.そして,対策後の汚染状況と対策の有効性評価のために,その後も検査を追加して維持管理をすることが必要である.施設ごとに施設構造や入院患者の感染リスクを念頭に置きながら,費用対効果も含め施設ごとに検討を行い管理していくことが望まれる.
Key words:レジオネラ, 給水系, 定期環境検査
連絡先: e-mail:
smz-hp-kansenbousi1@bz04.plala.or.jp
受付日:2022年9月8日 受理日:2023年1月16日
38 (3):99─106,2023
|