─原著─
沖縄県の特別養護老人ホームで発生した超高齢者を中心としたCOVID-19の臨床像
藤田 次郎1)~3), 與那 恵美4), 知念 徹3)5), 伊藤 まゆみ5), 加治木 選江4) 1)琉球大学名誉教授, 2)おもと会グループ特別顧問, 3)大浜第一病院呼吸器科, 4)医療法人おもと会安全感染管理室, 5)大浜第一病院感染管理対策室
オミクロンBA.5の流行時に発生したクラスターの際に,沖縄県の1特別養護老人ホームで24症例の新型コロナウイルス感染症(以下,COVID-19)を経験し,その臨床像,画像所見,および検査成績などを明らかにしえた.この特別養護老人ホームは,重点医療機関である総合病院と同じ建物内にあるため,胸部CT,および血液検査が実施しやすい環境にあった.24症例の年齢の中央値は91歳であった.発症時には全症例で呼吸不全を認めなかった.胸部CTを実施しえた21症例のうち,11症例でCOVID-19肺炎に矛盾しない所見が得られた.COVID-19肺炎と診断された症例については,原則,重点医療機関に入院とし,レムデシビルで治療した.特別養護老人ホームにおいては,経口抗ウイルス薬を発症早期から投与した.経過中,胸部CTにて誤嚥性肺炎が明らかであった症例では抗菌薬を併用した.24症例中1症例(4.2%)が誤嚥性肺炎の悪化に伴う呼吸不全で死亡した.本報告は,超高齢者のCOVID-19の臨床像,画像所見,および検査成績を示した点で貴重であると考える.
Key words:新型コロナウイルス感染症, 高齢者, 特別養護老人ホーム, 臨床像, クラスター
連絡先: e-mail:
fujita@med.u-ryukyu.ac.jp
受付日:2022年11月25日 受理日:2023年2月2日
38 (3):107─113,2023
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