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Article in Japanese

─報告─

精神科病棟におけるCOVID-19集団発生調査

金﨑 美奈子
公益財団法人浅香山病院


A病院精神科病棟におけるCOVID-19集団発生のリスク因子を検討した.2022年1月16日から2022年2月3日までの間,COVID-19と判明したA病院身体合併症病棟の職員および患者を対象に症例対照研究を実施した.単変量解析およびロジスティック回帰分析を行った結果,職員については放歌のある感染者ケア(AOR:11.2,95%CI:1.06-119.00,p=0.04),ケア介入数(AOR:2.4,95%CI:1.07-5.45,p=0.03),患者については同室者の放歌(AOR:21.1,95%CI:2.80-158.00,p<0.01),同室者が感染者(AOR:24.4,95%CI:3.03-197.00,p<0.01)がリスク因子として挙がった.感染者がマスクをすることで飛沫・エアロゾルからの曝露量を効果的に抑制できることが明らかとなっている.精神科病院ではマスク着用が困難な患者が多いが,一時的であればマスク着用が可能な場合もある.よって,近接するケアを行う前に患者にマスク着用を求めることが職員の曝露予防の一助となる.また,十分な換気によりエアロゾルの蓄積を防ぐとともにN95マスク着用による防護が有効と考える.

Key words:新型コロナウイルス感染症, 集団発生, 精神科病棟, 症例対照研究

連絡先:
e-mail: kansen-kanri2@asakayama.or.jp

受付日:2022年5月12日
受理日:2022年12月17日

38 (3):126─131,2023

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