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Article in Japanese

─原著─

SARS-CoV-2mRNAワクチン接種後の血清抗体価に関連する背景因子の検討

米村 圭祐
金沢市立病院臨床検査室


新型コロナウイルス感染症(SARS-CoV-2)に対するmRNAワクチン接種後の血清抗体価と関連する因子を明らかにすることを目的とし,当院職員383名の2回目ワクチン接種後約6ヶ月(I-II期)と,3回目ワクチン接種後約5ヶ月(III期)に,血清SARS-CoV-2 S-IgG抗体を測定した.感染歴のない266例を対象とし,背景因子と血清抗体価との関連性について統計学的解析を行った.単変量解析では,I-II期抗体価に影響を与える因子には,年齢,血液型,基礎疾患,花粉症,ワクチン後副反応,運動習慣,間食習慣,他のワクチンでの不応性があり,このうち花粉症,ワクチン後副反応,他のワクチンでの不応性はIII期抗体価でも関連性がみられた.多変量解析では,I-II期抗体価に影響を与える因子は,年齢,血液型,発熱,間食習慣,他のワクチンでの不応性であり,III期抗体価に影響を与える因子は,性別,花粉症,他のワクチンでの不応性であった.また,III期では年齢と抗体価の関連性がみられなかったことから,2回目ワクチン接種までは重症化リスクの高いとされる集団で抗体価が低い傾向であったのに対し,3回目ワクチン接種後は重症化リスクの高い集団にも抗体が十分に産生され,重症化予防に大きく貢献していることが示唆された.

Key words:SARS-CoV-2, COVID-19, ワクチン, SARS-CoV-2 S-IgG抗体価, 多変量解析

連絡先:
e-mail: yonemura.ke@kanazawa-cityhosp.jp

受付日:2022年11月16日
受理日:2023年5月19日

38 (5):235─240,2023

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