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Article in Japanese

─原著─

月経後週数を考慮した新生児・乳児におけるバンコマイシンの初期投与量の検討

清水 祐一1)2), 鹿間 芳明2)3), 山下 恵2), 横谷 チエミ2), 今川 智之2)3)
1)神奈川県立こども医療センター薬剤科, 2)同 感染制御室, 3)同 感染免疫科


バンコマイシン(VCM)はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌;Methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)感染症などに有用な抗菌薬である.新生児・乳児におけるVCM投与量は出生後週数と体重に基づき投与設計されることが多いが,実測トラフ値と目標トラフ値にしばしば乖離がみられる.出生後週数だけではなく,在胎週数がトラフ値に影響するかを明らかにするため,2016年1月から2021年12月に新生児集中治療管理室;Neonatal Intensive Care Unit(NICU)でVCMが投与された206例のうち,VCM投与開始4回以降投与直前にトラフ値が測定された84例を対象に投与量・トラフ値・血清クレアチニン値の検討を行った.在胎週数は出生後週数と合わせた月経後週数(postmenstrual age;PMA)で検討を行った.出生後1週未満と1週以降での投与量とトラフ値に有意な差は認められなかった.在胎週数については,PMAが37週未満の児における投与量は37週以上の群と比較し,有意に低用量であったが,トラフ値に有意な差は見られなかった.以上より,体重変化が大きく,腎機能の未熟な早産児は低用量で目標トラフ値を達成できると考えられるため,PMAを考慮して投与設計を行うことで初期から適切に血中濃度を管理することができると考えられる.

Key words:バンコマイシン, 新生児, 乳児, 在胎週数, 月経後週数

連絡先:
e-mail: yshimizu1619@gmail.com

受付日:2022年11月3日
受理日:2023年8月5日

38 (6):257─263,2023

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