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─報告─

病棟看護師における鼻腔Staphylococcus aureus保菌の実態と手指から検出されたS. aureusの由来との関連

榎本 美郷, 金坂 伊須萌, 勝瀬(金山) 明子, 小林 寅喆
東邦大学看護学部感染制御学研究室


病棟看護師における鼻腔Staphylococcus aureus保菌の実態と,手指から検出されたS. aureusの由来との関連について調査した.対象者の鼻腔および業務開始前,擦式手指消毒薬による手指消毒直後,消毒直後より30分,1,2,および4時間後の業務中に採取した手指の試料よりS. aureusを検出した.手指消毒直後以降の手指衛生は通常の業務時と同様に実施した.
対象看護師70例のうち,31例(44.3%)の鼻腔よりS. aureusが検出された.そのうち10例(32.3%)の消毒前の手指よりS. aureusが検出され,8例の手指由来株は鼻腔由来株と同一DNAパターンを示した.消毒直後以降に手指よりS. aureusが検出された10例(32.3%)のうち,5例(16.1%)の手指由来株は,鼻腔由来株と同一株であった.鼻腔S. aureus非検出39例(55.7%)のうち,消毒直後以降に10例(25.6%)の手指よりS. aureusが検出され,複数回同一株が認められたのは1例のみだった.鼻腔S. aureusの検出によらず,業務中の手指にS. aureusが認められ,鼻腔S. aureus検出例においては,本人の鼻腔由来株と同一株が手指から検出されることから,接触感染対策として,患者に接触する直前の適切な手指衛生が必要であると考えられた.

Key words:擦式アルコール手指消毒薬, 医療従事者, 黄色ブドウ球菌, 鼻腔, 医療関連感染

連絡先:
e-mail: misato-enomoto@ns.toho-u.ac.jp

受付日:2022年12月1日
受理日:2023年8月3日

38 (6):267─271,2023

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