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Article in Japanese

─原著─

高齢者の栄養状態がアミカシン硫酸塩1日1回投与法の臨床効果に与える影響

松木 祥彦1), 矢嶋 美樹1), 塚本 哲也2), 渡部 多真紀3), 渡辺 茂和3)
1)上尾中央医科グループ船橋総合病院薬剤科, 2)同 内科, 3)帝京大学薬学部実務薬学


高齢者へのアミカシン硫酸塩(amikacin sulfate:AMK)1日1回投与には,腎機能に応じて体重あたりの1回投与量(mg/kg)を減じた投与法が推奨されている.しかし,1回投与量の減量は,十分な抗菌活性を発揮できない可能性が指摘されている.そこで,AMK1日1回投与法をおこなった高齢者を対象として臨床効果に影響を及ぼす因子について検討した.
65歳以上の細菌性肺炎患者のうち,AMKを使用した330症例を対象とした.それらを有効群と無効群の2群に判別し,投与量,身体計測値,血液一般検査値,血液生化学検査値を比較検討した.
有効群と無効群で有意差が認められた因子はAlb,TP,RBC,Hb,体重であった.AMKの投与量は,有効性に差を認めなかったが,Cpeak≥41 μg/mLでは,有効性に差が認められたAlb,RBC,Hbに差は認められなかった.腎機能障害においては,Cpeak≥41 μg/mL群およびCpeak<41 μg/mL群ともに発現率に差は認められなかったが,trough≥4 μg/mL群では有意に高値であった.
高齢者におけるAMK1日1回投与法は,Ccrに応じて投与量を減量する場合でもCpeak≥41 μg/mLを考慮した投与設計を要することが示唆された.また,Alb,TP,RBC,Hb,体重が低値である患者では,十分な抗菌活性を発揮できない可能性が示された.

Key words:アミカシン硫酸塩, 1日1回投与法, 高齢者, 低栄養

連絡先:
e-mail: cds306@crest.ocn.ne.jp

受付日:2017年4月6日
受理日:2017年9月19日

33 (1):7─14,2018

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