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Article in Japanese

─報告─

レジオネラ肺炎の院内発症を契機とした病院給水系のレジオネラ属菌汚染の調査と除菌対策

中村 麻子1), 島崎 信夫2), 田中 梨恵1), 飯田 秀夫1)
1)国際親善総合病院感染防止対策室, 2)同 薬剤部,医療安全管理室


2013年9月にL. pneumophila serogroup 1によるレジオネラ肺炎の院内発生を認めた.調査の結果,パルスフィールド電気泳動にて病室内給湯水と患者から採取した喀痰のレジオネラDNAのバンドパターンが一致したことから感染源が給湯系であると推察した.給湯系の汚染を調査した結果,混合水栓1か所からL. pneumophila SG 1が検出された.除菌対策として熱水消毒後,配管内の湯温低下防止のため湯の持続放流を実施し,さらに不要配管を除去した結果,除菌は成功した.しかし40℃の混合水から再びL. pneumophila SG 1が検出されたことを契機に92か所の水を調査したところ,23か所から同菌が検出され給水系の汚染を認めた.給水系の除菌対策として,末端混合栓での水の遊離残留塩素濃度が0.87 mg/L以上となるよう受水槽に次亜塩素酸ナトリウムを持続的添加に加え,最遠位の混合水栓から毎日6分間および全病室洗面台から毎日1分間水を放流した.これらの対策により遊離残留塩素濃度は平均0.81 mg/Lに上昇(p<0.01)し,同菌の検出が13.6%から0.4%に減少(p<0.01)し有効性を認めた.本研究の結果から,給湯系のレジオネラ属菌汚染を認めた場合,給水系に汚染源がある可能性を考慮して調査が必要であると考える.

Key words:レジオネラ属菌, 給湯設備, 給水設備, 遊離残留塩素濃度, 放流

連絡先:
e-mail: nakamura-asako@shinzen.jp

受付日:2017年10月30日
受理日:2018年7月10日

33 (5):193─202,2018

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