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論文名 物忘れ外来のための日常記憶課題の検討
論文言語 J
著者名 伊原 武志1), 佐藤 卓也2), 佐藤 厚2), 今村 徹1)3)
所属 1)新潟医療福祉大学医療技術学部言語聴覚学科
2)新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科
3)同 神経内科
発行 神経心理学:27(2),160─166,2011
受付 2010年1月12日
受理 2010年6月28日
要旨 【目的】物忘れ外来のための日常記憶課題(Everyday memory task for memory clinic:EMT-MC)として,患者が外来で経験する検査と認知機能テストの内容とスケジュールを統制し,それらのエピソードを日常記憶評価の素材として用いるという方法を検討する.【対象】物忘れ外来を初診しアルツハイマー病と臨床診断された83症例.【方法】初診時に担当医が数唱とMMSEを施行した.初診3~5週後に検査日を1日設け,頭部MRI,脳波,および言語聴覚士の施行するADASを含む神経心理学的検査を行った.初診4~6週後に再診日を設け,担当医が半構造化インタビューを行って,初診からの期間と受診回数,および前回の検査内容を患者に想起させた.反応を得点化してEMT-MC得点とし,疾患属性および認知機能障害の諸項目との関係を検討した.【結果】EMT-MC得点と初診時年齢,発症年齢,罹病期間,数唱との間には有意な相関はみられなかったが,認知機能障害の全般重症度を示すMMSE得点とADAS減点,近時記憶障害の尺度である神経心理学的検査所見,認知症の全般重症度を示すCDR,およびADL上の近時記憶障害の評定であるCDRの記憶のスコアとの間に有意な相関を示した.【結論】EMT-MCは日常記憶の評価法として有効であり,この方法論を用いることで,日常記憶障害を評価する簡易な課題をそれぞれの物忘れ外来ごとに独自に設定できると考えられる.
Keywords 日常記憶, もの忘れ外来, 認知症, アルツハイマー病, 日常生活活動
別刷請求先 〒950-3198 新潟市北区島見町1398 新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野 今村 徹 imamura@nuhw.ac.jp


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