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論文名 呼称における誤反応の分析から見た語彙処理
論文言語 J
著者名 奥平 奈保子
所属 東京都リハビリテーション病院リハビリテーション部
発行 神経心理学:28(2),133─144,2012
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要旨 失語症患者22例の呼称における誤反応を,語彙性・意味的関連性・音韻的関連性の3次元で分類し,誤反応パターンと重症度や回復との関係を検討した.正答率が高い患者は低い患者に比べ,形式性錯語・無関連錯語・新造語の比率が低く,意味性錯語の比率と,目標語と反応の音韻的類似性が高かった.7例に再検査を行ったところ,改善に伴い無関連錯語の比率は減少したが,意味性錯語や混合性錯語は減少せず,むしろ増加した.また音韻的類似性の改善により,新造語の割合は減少して音韻性錯語が増加した.Dellら(1997)の相互活性化モデルの予測にある程度合致する重症度・回復との関連性が認められたことから,呼称障害には処理レベル間の相互作用や,処理経路全体にかかわる活性の強さ・減衰の障害という側面があると考えられた.一方で,無反応と意味的エラーのみのパターンや,音韻的エラーのみのパターンなど,全体損傷の処理モデルでは再現が難しい誤反応パターンも認められ,モデルに局所損傷を導入することが必要と考えられた.以上の結果にもとづき呼称訓練のあり方などについて検討した.
Keywords 呼称, 誤反応分析, 錯語, 相互活性化, 全体仮説
別刷請求先 〒131-0034 東京都墨田区堤通2-14-1 東京都リハビリテーション病院リハビリテーション部 奥平奈保子 st@tokyo-reha.jp


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