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論文名 アルツハイマー病患者における書字障害:書き取り課題における誤反応タイプと注意障害との関係
論文言語 J
著者名 佐藤 厚1)2), 今村 徹1)3), 工藤 由理4), 佐藤 卓也2)
所属 1)新潟医療福祉大学大学院保健学専攻言語聴覚学分野
2)新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科
3)同 神経内科
4)総合リハビリテーションセンターみどり病院リハビリ科
発行 神経心理学:28(4),266─273,2012
受付 2011年4月4日
受理 2011年11月10日
要旨 [目的]Alzheimer's disease(AD)患者の短文書き取り課題の誤反応タイプと注意機能課題との関係を分析する.[対象]MMSE 10点以上,教育年数7年以上12年以下のAD 91症例.[方法]全例に数唱順唱,逆唱,Alzheimer's Disease Assessment Scale(ADAS)および短文書き取り課題を施行した.書き取り課題の誤反応について,タイプごとに誤反応の有無と関係する要因をロジスティック重回帰分析で検討した.[結果]ADの全般重症度の要因を除外しても,錯書は逆唱の成績が悪いほど,またADASの口頭命令課題の成績が悪いほど出現しやすく,一方,文字脱落は逆唱の成績が悪いほど出現しやすかった.[結論]AD患者の短文書き取りでは,言語機能の低下によって錯書が生じる一方で,分配性注意の障害によって錯書や文字脱落が生じる可能性が示唆された.AD患者における短文書き取り課題の誤反応タイプは,それぞれ質的に異なる認知機能障害を反映し,注意障害という観点から更に分析されうる対象である.
Keywords アルツハイマー病, 書字障害, 書き取り, 誤反応タイプ, 注意障害
別刷請求先 〒950-3304 新潟市北区木崎761番地 新潟リハビリテーション病院リハビリテーション部言語聴覚科 佐藤 厚 nirehp.a-sato@aiko.or.jp


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